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イップス読了 7分

イップスは気持ちの問題ではない——原因は3つに分かれる

この記事が答える質問

イップスで思った通りに投げられません。メンタルを強くすれば治りますか?

文:濵 盛力(株式会社 Essential Qualities 代表/DAY ONE)

「気持ちの問題だ」「もっとリラックスしろ」。イップスに悩む選手が言われ続ける言葉です。しかし深呼吸をして本当に投げられるようになった選手を、私はほとんど見たことがありません。原因が気持ちではなく、身体のほうにあるからです。

DAY ONEでは、イップスの原因を大きく3つに分けて考えます。3つはまったく別の状態なので、同じ練習をしても効く人と効かない人が出ます。まず自分がどれなのかを見分けることが先です。

① 身体が過度に硬い

腕を振るという動作を、身体が硬いために本来の形では作れない。そこで身体は、バランスを崩す動作によってそれを再現しようとします。

毎回バランスの崩し方でつじつまを合わせているため、照準が定まりません。同じところへ投げようとしても、そのたびに崩れ方が違うからです。

さらに、腕が「振られる」役割ではなく、身体のバランスを取る役割を担ってしまう。ここから不自然な動作が生まれます。

腕は本来、全身で作った力を最後に通す場所です。それがバランスを取るための道具になってしまうと、投げる動作そのものが別の運動に変わります。硬さを放置したまま投げ方だけを直そうとしても、戻るのはそのためです。

② 身体が過度に柔らかい

①の逆です。柔らかいほうが有利に見えますが、イップスに関してはそうとは限りません。

運動は、伸張反射という反射によってスムーズな動きが可能になっています。筋肉が急に伸ばされると、無意識に縮もうとする反射です。投球の切り返しは、この反射に支えられています。

ところが、伸びきる範囲が他の人より広い選手は、この伸張反射を使い切る難易度が高くなります。反射が返ってくる前に、さらに伸びてしまうからです。どこで切り返せばいいのかが、感覚では掴めません。

だからこそ、この場合は感覚に頼らないことが改善につながります。動きの支点はどこか、身体をどう使うというルールなのか——それを知ることで、柔らかさを扱えるようになります。

③ 教えられすぎ、あるいは知識の誤り

3つ目は、身体ではなく情報の問題です。

頭の中でイメージしている動き自体が、身体の構造から再現できない動きになっている。物理的に不可能なことを追いかけるあまり、自分のフォームを見失い、分からなくなっている状態です。

指導者が複数いる選手、動画や情報を熱心に集める選手に起こりやすい。本人は真面目に取り組んでいるのに、目指している形そのものが身体の構造上あり得ないので、いくらやっても届きません。届かないから、さらに意識する。悪循環に入ります。

この場合は、身体の構造に則った正しい情報を知ることで改善できます。新しい練習を足すのではなく、追いかけていた形をやめることが最初の一歩になります。

3つに共通して起きていること——「力み」

原因は3つに分かれますが、結果として身体に起きていることには共通点があります。それが力みです。

力みとは、5の力で動かせるはずの運動に、それ以上の余分な力が働いてしまい、身体がスムーズに動かなくなっている状態のことです。そして力みの正体は、緊張ではなく「意識的に動かすこと」そのものにあります。

随意運動と不随意運動

  • 随意運動=意識的な運動。大脳から電気信号が来る
  • 不随意運動=無意識的な運動。小脳から電気信号が来る

筋肉は必ず対(拮抗筋)になっていて、片方が縮めば、もう片方は自動的に伸びます。腕を曲げるとき、本来働く必要があるのは上腕二頭筋だけです。

ところが随意運動をすると、脳が発した電気信号を身体が区別できず、上腕三頭筋まで働いてしまう。これが力みの仕組みです。

拮抗筋に余分な力が加わると、コントロールが定まりません。さらに身体のバランスが崩れるため、ケガのリスクも上がります。深呼吸で交感神経を抑えても力みが取れないのは、力みが緊張ではなく「意識」から来ているからです。

「ちゃんと投げよう」と強く思うほど悪化する——精神論では説明がつきませんが、この仕組みでは説明がつきます。

DAY ONEでの向き合い方

まず、3つのどれに当てはまるかを見ます。硬さなのか、柔らかさなのか、情報なのか。ここを取り違えると、正しい練習をしているのに効かないという状態になります。

  1. 1動画と動作の分析から、どの局面で身体が止まっているかを特定する
  2. 2硬さ・柔らかさ・情報のどれが根幹かを見分ける
  3. 3無理に元のフォームへ戻さず、その選手がいま再現できる動作を作り直す

また、意識の向け先そのものも扱います。自分の腕や肘に注意を向けるほど随意運動が強まるため、注意を身体の外側へ向ける方法を使うこともあります。約1時間のセッションが、ほとんど会話だけで終わることもあります。

自分の場合はどうなのか、を知りたい方へ

記事はあくまで一般的な原理です。実際にどこで力が漏れているかは、動作を見て計測しないと分かりません。DAY ONE(大阪市福島区)では初回に現状の分析と課題の特定を行います。LINEでの相談は無料です。遠方の方はオンラインでも対応しています。

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