「ベンチプレスもスクワットも重量が伸びた。なのに球速が変わらない」——これは、DAY ONEに来る投手からもっとも多く聞く相談です。原因はたいてい、トレーニングの量ではなく、投げる動作そのものが「押す動き」に変わってしまっていることにあります。
「押す(Push)」と「投げる(Throw)」は別の運動
この2つは、身体の使い方がまったく違います。
Push(押す)
- ベンチプレスやスクワットのように、重いものを押す動き
- 力を同時に出す。身体を固めて、安定させる
- 評価の基準は「どれだけ強いか」。筋肉を大きくすると有利になる
Throw(投げる)
- 目的は力の大きさではなく、速度の最大化
- 身体を順番に連鎖させ、あえて「遅れ」を作り、最後に一気に加速する
- 力の流れは、地面 → 足 → 下半身 → 骨盤 → 体幹 → 肩甲骨 → 腕 → 手
投球はThrowであって、Pushではない。
Push化している投手のサイン
次のどれかに心当たりがあれば、動きがPush寄りになっている可能性があります。
- 身体を固めて投げている
- 上半身で押し出している感覚がある
- 「もっと力強く投げろ」と言われ、そう意識している
Push化すると、次の順番で不具合が出ます。可動域が減る → 身体の連鎖が止まる → 力の通り道を失った負担が肩や肘に集中する → そして球速が頭打ちになる。痛みと球速の頭打ちが同時に来るのは、偶然ではありません。
最大挙上重量と球速が結びつかない理由
投球で必要なのは、最大筋力よりも「どれだけ速く力を立ち上げられるか」です。これをRFD(Rate of Force Development/力の立ち上がり速度)と呼びます。
投球でリリース直前に爆発的な発揮が求められる時間は、およそ0.15〜0.25秒。この短さの中で使えない筋力は、球速には反映されません。ウエイトの挙上重量が伸びても球速が変わらないのは、そのためです。
球速を決めているのは3つの要素
DAY ONEでは、球速を次の3つの掛け算として扱います。
- 1速度 — 身体の重心をどれだけ速く動かせるか
- 2距離 — ボールを加速させられる区間をどれだけ長く取れるか(力積)
- 3質量 — 体重と筋量。ただし上の2つが働いて初めて意味を持つ
体重を増やして球速が上がる選手と、上がらない選手が分かれるのはここです。速度と距離が確保できていない身体に質量だけを足しても、掛け算の答えは大きくなりません。
取り組む順番を間違えない
DAY ONEが原則としている順番は、次の3段階です。
- 1まず可動域を確保する
- 2次に連鎖(機能性)を作る
- 3その上で出力を上げる
この順番を飛ばして3番だけをやると、Push化が進みます。「トレーニングは間違っていないのに結果が出ない」という状態のほとんどは、内容ではなく順番の問題です。
自分の場合はどうなのか、を知りたい方へ
記事はあくまで一般的な原理です。実際にどこで力が漏れているかは、動作を見て計測しないと分かりません。DAY ONE(大阪市福島区)では初回に現状の分析と課題の特定を行います。LINEでの相談は無料です。遠方の方はオンラインでも対応しています。
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