「開きが早い」「我慢しろ」「もっと捻転差を作れ」。投手にも打者にも、最も多くかけられる言葉のひとつです。そして、最も直らない指摘でもあります。理由があります。開きは意識して止めるものではないからです。
捻転差とは何か
捻転差とは、上半身と下半身の回転タイミングのずれのことです。下半身が先に回り、上半身が遅れてついてくる。このずれが大きいほど、身体がゴムのようにねじれて、大きな力が出ます。
ここまでは正しい理解です。問題は次です。
捻転差は、下半身・体幹が機能した結果として自然に生まれるものです。これを「意識的に作ろうとする」練習は、逆効果になりやすい。
なぜ逆効果になるのか
捻転差を意識的に作ろうとすると、上半身を「残す」動きになります。つまり、回ろうとする身体を自分で止めにいく。
ブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいる状態です。身体は固まり、可動域は減り、連鎖は止まります。そして力が通らなくなった分の負担は、肩や肘に集まります。
開きを我慢した結果、球速が落ちて、肩肘が痛くなる。この順番で来る選手は少なくありません。
では、開きは何が原因なのか
体幹のエラー——突っ込む、横に流れる、回転が早い——の多くは、下肢と骨盤が原因です。
下肢の役割は「地面に対して体幹を操作すること」です。骨盤の角度が体幹の向きを決めます。つまり、上半身が早く開くのは、その前に骨盤が開いているからです。
上半身は、下半身が決めた向きに従っているだけです。従っている側を叱っても変わりません。
「ブレーキをかけるから末端が走る」
身体は、体幹から末端へ順番に加速する連鎖で動いています。そして重要なのは、体幹がブレーキをかけることで、末端が加速するという点です。
全部が同時に動くと、力は分散します。順番通りに使うことが最大出力の鍵です。
捻転差とは、この順番が正しく起きたときに「結果として観測されるもの」です。順番を作らずに、ずれだけを真似しても、形が似るだけで力は出ません。
まとめると
- 開きが早いのは、上半身の我慢が足りないからではない
- 骨盤が先に開いている
- 捻転差は作るものではなく、下半身と体幹が機能したときに生まれるもの
- 意識して作ろうとすると、身体が固まって逆効果になる
自分の場合はどうなのか、を知りたい方へ
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