同じ練習をしても、伸びる選手と伸びない選手がいます。同じ指導を受けても、一度で変わる選手と、何度言われても変わらない選手がいます。この差は、練習量でも、素質でもありません。内部モデルを持っているかどうかです。
内部モデルとは何か
自分の中にある「こうすればこうなる」という地図のことです。
この力でこう動かせば、身体はこう動く。この動きをすれば、ボールはこう行く。いまの感覚は、昨日の良かったときとどれくらい違う。——それを実際に起きる前に、自分の中で言える状態を指します。
学習や練習をする上で、最も効率的かつ最も重要な核です。結果を出す人であるならば、必須のものです。
知識とは違います
知識を知ることは大事です。理想のフォームを知り、それを現実にする作業も大事です。それ自体は否定しません。ですが、成果を上げる必要がある環境では、それ以上に内部モデルが求められます。
知識は「正解を知っている」状態です。内部モデルは「いま自分がその正解からどれだけズレているかが分かる」状態です。前者だけを増やしても、自分の現在地が分からなければ、どこへ向かえばいいかは決まりません。
本当の努力とは、目標と現在地の差を明確にしたうえで、そこに力を注ぐことです。自己分析は、努力をするための資格です。
内部モデルがある選手に起きていること
① 予測して先に動いている
うまい選手は、反応しているのではありません。予測して先に動いています。速い球に差し込まれる選手は、目が悪いわけではありません。「この投手のこの腕の振りなら、ここに来る」という地図が粗いので、見てから動くしかない。見てからでは間に合いません。
② 良い・悪いが自分で分かる
内部モデルがあると、動いた瞬間に「いまのは違う」と分かります。誰かに言われる前に分かる。これが無いと、コーチが見ていないと練習が成立しません。言われたときだけ直り、言われなくなると戻ります。
③ 乱れても戻れる
試合で崩れたとき、何を手がかりに戻るか。内部モデルがある選手は、自分の中の基準点に戻せます。無い選手は、崩れたら崩れたままです。
④ 自分で改善課題を作れる
ここまで来て、はじめて自分で伸びられる状態になります。指導者がいる時間よりも、いない時間のほうが圧倒的に長い。その時間を使えるかどうかが、年単位で差になります。
内部モデルが壊れているサイン
調子が悪いときほど、指先が気になります。末端に意識が向くのは、体幹が機能していない証拠です。レベルが高い選手ほど身体の基礎動作ができあがっていて、ボールを指先で操作しません。指先で操作している段階は、基礎動作の習熟が不十分だということです。
これは内部モデルでも同じです。地図が粗くなると、人は一番分かりやすい末端を手がかりにしようとします。「とりあえず手首だけ直そう」と思い始めたら、地図が壊れている合図です。
もうひとつのサインが、「頭の中のイメージと、実際の身体が違う」という感覚です。これはイップスの原因の3つ目——教えられすぎ、知識の誤り——とまったく同じ状態です。情報を入れるほど地図が書き換わり、どれが本当か分からなくなる。
内部モデルは、どうやって作るのか
精神論ではありません。手順があります。
- 1仮説を立てる — いま何が起きていると思うか、言葉にする
- 2実際にやる
- 3結果と照らす — 思った通りだったか、違ったか
- 4地図を書き換える
この4つを高速で回すことが、内部モデルを育てる道筋です。DAY ONEのセッションが、やらせて終わりではなく「なぜそうなったか」の説明に時間を使うのは、このためです。
やり方だけを渡すと、その場ではできるようになります。ですが地図は増えません。翌週には戻っています。
だから、順番がある
「上達には順番がある」で書いた5つの層のうち、内部モデルは「感覚・知覚」の層にあたります。
多くの選手が、頭で理解する層から、試合で出す層へ直接飛ぼうとします。その間にある「自分で良し悪しを判断できる層」を通らないまま試合に行くので、崩れたときに戻れません。
地図を持たずに走っても、速く迷うだけです。
自分の場合はどうなのか、を知りたい方へ
記事はあくまで一般的な原理です。実際にどこで力が漏れているかは、動作を見て計測しないと分かりません。DAY ONE(大阪市福島区)では初回に現状の分析と課題の特定を行います。LINEでの相談は無料です。遠方の方はオンラインでも対応しています。
LINEで無料相談する